高圧パイプラインにおける断層対策

はじめに

図-1 主要98断層

日本列島には、周辺の海底も含めて数多くの断層が刻まれており、図-1に示すように日本全国に主要98断層帯(現在は110)を含め約2000の断層があると言われています。なかには図-2のように地表面に大きな変形を生じさせる断層や地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあります。
パイプラインは連続体であるという特性上、断層との交差を避けることが非常に困難なことから、これまでは断層変位部で万一ガス漏えいが生じた場合には、供給操作(遮断・放散)で安全を確保することが考えられてきました。そのため当社では、これまでの断層の調査・解析の実績をもとにして、“特別な材料を用いず変形は許容しても漏洩は発生させない”ことを主目的とした「高圧パイプラインの断層対策」の開発を行いました。

図-2 井戸沢断層

断層対策の特長

図-3 断層の変位様式

 

図-4 断層変位によるパイプラインの被害状況

すべての活断層がパイプラインに大きな被害をもたらすわけではありません。図-3に示すように、断層運動の変位様式によって4つの基本タイプに整理でき、このうち正断層は、パイプラインに対して引張り力と曲げ、逆断層は圧縮力と曲げ、横ずれ断層は交差角度により引張り力又は圧縮力と曲げを作用させます。(図-4参照)

この中でパイプラインからの漏洩を生じさせる程の変形を引き起こすのは、圧縮力が作用する場合であり、断層の対策においてはこの“圧縮力を如何に減少させるか”が重要となります。

また、断層は調査するために、相当な費用がかかるため、現在、位置が特定されている断層は少なく断層対策においては、“正確な場所が分からない断層に対処”する必要があります。さらに、パイプラインには、伏越しが必ずといってよいほど発生します。そのため断層対策においては、“近辺に伏せ越し構造が有る事”を前提とすることは必須であるといえます。

当社の断層対策は、これまで対応が非常に困難であると考えられていた、断層対策上の問題を解消し、高圧ガスパイプラインに限らず、ほぼすべてのパイプラインに適用が可能です。

断層対策の例

コストを最小にして断層による軸方向の変位を緩和するためには、伏せ越し形状が最適です。この形状を応用し断層の性状に応じた最適な寸法を解析で求め、周辺環境を考慮したうえで適切な位置に配置することで断層の対策を行います。また、伏越しの有無、断層位置の精度に応じて図-5のフローで断層対策の手法を決定します。

図-5 断層対策フローチャート

図-6 断層対策の効果

施工実績

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