中圧ガス導管円周溶接部向け簡易式超音波診断装置
NS-MUTES®:エヌエス-ミューテス
はじめに
中圧ガス導管円周溶接部の品質確認方法は放射線透過試験(以下:RT)による抜き取り検査が主流となっており、全継手・全円周となっておりません。そこで、RTによる抜き取り検査対象外の円周溶接部について、溶接部の各種欠陥の中でも特に地震時の影響等により配管の破断原因となり易い重大欠陥(内面開口状欠陥IP:溶け込み不良など)を非破壊検査専門技術者以外でも容易に検出が可能となる簡易式超音波診断装置:NS-MUTESを当社自主検査専用として開発しました。当装置を用いて重大欠陥の有無を確認することで、円周溶接部の品質向上に努めることができ、導管の信頼性向上を計ることができます。
NS-MUTESの装置概要(外観写真)

探触子ホルダー

探傷器

走査状況(全景)

走査状況
NS-MUTESの特長
- 探触子ホルダーには、検査対象口径に適した探触子入射点位置及び探触子と鋼面のギャップ調整を容易に合わせられる機能を搭載しています。
- 探触子ホルダーに搭載している基準プレートを円周溶接部中心に合わせることで、走査を容易にすることができます。(超音波ビームの狙い位置を一定にした走査)
- 探傷器に事前入力された検査対象口径毎の条件を呼び出すことで、監視ゲートの設定を容易にすることができます。
- きずの位置と長さをアラーム音にて確認できることで、走査中の探傷器による波形確認が不要となります。(非破壊検査専門技術者以外での検査が可能)
- 小型で軽量化した探触子ホルダーとしたことで、狭隘な会所部でも支障なく作業することができます。
- 探傷器の性能上走査速度による検出制約がないため、短時間(1継手当り2走行実施の検査時間は5~10分程度)での検査となり、配管作業時間に制約のある即日復旧工事でも実施可能となります。
NS-MUTESによる検出原理(斜角探傷方法)
内面開口状の重大欠陥(IP:溶け込み不良など)が存在する場合に強いエコーが確実に得られる探触子と溶接部との離隔を検査対象口径毎に探索・確認を行い決定しています。
きずのエコー範囲を「監視ゲート」として特定することで他のエコーをきずのエコーと識別することが可能となりました。
NS-MUTESによる探傷仕様